8月からデリーに住んでいる筆者ですが、インドには日本には無い様々なカフェチェーンがあることに気が付きました。インドには屋台でチャイを飲む文化が今も根強くありますが、カフェでコーヒーを飲む文化も若者を中心に拡大しています。
今回はインドのコーヒーチェーンについて取り上げたいと思います。
インドは世界有数のコーヒー豆生産国です。IBEFによると、2022年度のインドは世界で8番目にコーヒー豆を生産する国であり、インド南部の州で生産されるアラビカ種とロブスタ種はプレミアム商品として欧米を中心に人気です。国内で生産される36万トンのコーヒー豆のうち約3分の2が輸出されています。
また、IBEFのレポートによると2023年にインドは国内で91,000トンのコーヒーを消費しました。同年約40万トンを消費した日本と比較するとインド国内のコーヒーの消費量はまだ低いのが現状です。
インド国内で急拡大するコーヒーチェーンですが、財閥グループから外資チェーン、スタートアップまで多くのプレイヤーが存在しています。その先駆けといえる存在が、地場のコーヒーチェーンとして1996年にベンガルールで第一号店を出したカフェ・コーヒー・デイでした。同じく地場のBARISTAは2000年に設立。モルディブ、スリランカなど南アジア諸国に展開しています。近年インドでよく見かけるのが日本でも馴染み深いスターバックスです。スターバックスは2012年にインドの財閥グループであるタタ・コンシューマー・プロダクツと合弁会社「タタ・スターバックス」を設立し、市場シェアを拡大させてきました。2024年12月時点で76都市470店舗を展開しています。英国発でコカ・コーラ社に買収されたCOSTAもインドで拡大を続けるコーヒーチェーンです。全国に192店舗を展開しており、今後はコチやティルバナンタプラムなどの中小規模都市の進出に注力すると報じられています。
近年、インドで急成長を遂げている2つのコーヒーチェーンをご紹介します。どちらも資金調達のラウンドCにまで進出しており、インドで注目されているスタートアップです。
1つ目は、Third Wave Coffeeです。創業者が米国留学中に感動したコーヒー文化をインドにも根付かせるために2016年にベンガルールにて創業しました。自家焙煎のこだわりが強く、当時のインドでは初となる焙煎所を併設した店舗をオープンしています。また2024年10月ベンガルールに新たな焙煎所を開設し、スペシャリティコーヒーの文化をインドに伝えています。報道によると、2024年10月時点で116店舗を展開、2025年3月までに150店舗の達成を目指しています。2023年9月にラウンドCで3,500万米ドルの資金調達に成功しました。
2つ目はBlue Tokai Coffeeです。2013年にグルグラムにて創業しており、筆者もよく利用しています。使用するコーヒー豆はすべて「インド産」で、生豆の生産から提供まで、すべての工程を一貫して管理し、高品質の製品を提供、最近では大手フードデリバリー企業Swiggyと提携し、特定エリア内であれば15分以内にコーヒーをデリバリーするサービスを開始し話題になりました。Blue Tokai Coffeeは日本にも進出しており、ECで焙煎豆を販売するほか、2024年に初の海外店舗を東京の渋谷区にオープンしました。2024年8月にラウンドCで3,500万米ドルの資金調達に成功しました。
これらのスタートアップには共通点が見られます。それは「インド産のコーヒー豆の大半が輸出され、国内で高品質のコーヒーを味わう機会が少ない」という課題意識です。そのため、国産のコーヒー豆の魅力を再定義し、インド国民が気軽にコーヒーを楽しめる環境を整えた両社は多くの都市で新店舗をオープンさせてきました。
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